獣は愛で、癒される。 (花音コミックス)

オリジナルBLに覚醒して初めて行ったコミケ会場で、正直好みの絵柄に全く巡り会えなかった私が、あるスペースで足を止めた。そこに並べられていた同人誌のカラー表紙はスタイリッシュでシャープ、かつ都会的センスに溢れているもので、自然と手が伸びてしまって、気づけばこの白スーツの男が登場するシリーズ全てを購入してしまっていた。以来、千春×一輝のカップリングシリーズは私のバイブルと化してしまっている。大体現代の時代、白のダブルスーツを着こなすサラリーマン、しかも大手会社の社長秘書がいるのか!?私にははなはだ疑問点が溢れるものなのだが、この敬語攻めの恐ろしき肉体美を誇る絶倫男の前ではそんな言葉は陳腐に消滅するしかない。徹底した彼の、やがては主人となるであろう、一回り年下の今はまだ稚拙な大学生一輝への一種異常なまでの愛情。そしてそれに平然と応える一輝の、千春への絶対の信頼。この二人がどんな主従関係を形成していくのか楽しみでならない。また、千春の従兄弟でクセの強いカオル、その恋人である大郷、一輝の兄とその妻?の家庭。策士である一輝の父親。魅力的で個性がそれぞれに輝く登場人物の存在感で、この作品は読者を飽きさせない。ドラマCDもぜひ購入して、世界観を全て網羅しても損は無い!