アウトサイダー・アート (光文社新書)電子ブックのダウンロード
アウトサイダー・アート (光文社新書)
アウトサイダー・アート (光文社新書) pdf gratis completo
de 服部 正
4.1 étoiles sur 5 (13 Commentaires client)
Nombre del archivo : アウトサイダー-アート-光文社新書.pdf
内容紹介「アウトサイダー・アート」とは、精神病患者や幻視家など、正規の美術教育を受けていない独学自修の作り手たちによる作品を指す。20世紀初頭にヨーロッパの精神科医たちによって「発見」されたこの芸術は、パウル・クレー、マックス・エルンスト等の前衛芸術家たちにも多大な影響を与えた。戦後には、フランスの画家ジャン・デュビュッフェがヨーロッパ各地から作品を収集し、それを「アール・ブリュット(生の芸術)」と呼んで賞賛したことから「価値」が高まった。近年、日本でもそれらの作品への関心が急速に高まりつつある中、モダン・アートが置き忘れてきた「もうひとつのアート」の魅力に迫る。内容(「BOOK」データベースより)「アウトサイダー・アート」とは、精神病患者や幻視家など、正規の美術教育を受けていない独学自修の作り手たちによる作品を指す。20世紀初頭にヨーロッパの精神科医たちによって「発見」されたこの芸術は、パウル・クレー、マックス・エルンスト等の前衛芸術家たちにも多大な影響を与えた。戦後には、フランスの画家ジャン・デュビュッフェがヨーロッパ各地から作品を収集し、それを「アール・ブリュット(生の芸術)」と呼んで賞賛したことから「価値」が高まった。近年、日本でもそれらの作品への関心が急速に高まりつつある中、モダン・アートが置き忘れてきた「もうひとつのアート」の魅力に迫る。商品の説明をすべて表示するA continuación se muestran los comentarios del lector después de leer アウトサイダー・アート (光文社新書). Puede considerarlo como referencia.
障がい者による芸術のためのミュージアムを国が構想しているという。そのこと自体は悪いことではないし反対する人も少ないだろう。そのためのキーワードになっているのが「アール・ブリュット」というフランス語。本書で述べられているように、仏画家ジャン・デュビュッフェが使い始めたもので、「生(なま)の芸術」と訳されることもある。ただし、彼がこの語を使い始めたとき、それは障がい者による芸術制作の一部を含んではいても、それに限定されるものではなかった。また福祉や教育を目的とするものでもない。じっさいデュビュッフェの「アール・ブリュット」コレクションには宗教家による作品なども含まれている。作者の属性(障がい者であるとか宗教家であるとかいった)と無関係ではないにせよ、その属性を十分条件とするものではないのだ。それはむしろ、既存の芸術的教養・訓練の外で生まれた或る種の質を指していた。その概念をより普遍化したものが、本書のタイトルともなっている「アウトサイダー・アート」だと考えられる。その作品の質とは、まちがいなく独自のものなのだが、「独自性(オリジナリティ)」という言葉を使うより、前にも後にも継承関係をもたないような「単独性」という言葉がふさわしいもので、そのオーラを強烈に放っているという(ちなみにオリジナリティーならば、継承されることも多いだろう)。しかもそれは当人にとって表現せずにはいられないものだったのだ。「表現せずにはいられない」というこの言葉は、さまざまな芸術作品を形容するために使われてきた近代美学のクリシェだが、ほとんどの場合は、名誉欲や金銭欲などと綯い交ぜになっていた(そのことは別に悪いことではない)。しかしアウトサイダー・アートにおいてはそれが文字通り成り立っているように思われる――そういう質を備えているということである。要するに、鑑賞者からすれば、近代芸術を理解する際の評価の目盛りをふりきったところにあるといえるのだが、べつに作者がそのことをめざしたわけではない。そういう意味で、既成芸術の枠の外にあるものであり、また福祉の枠の外にあるものなのだ。これを、既成芸術や福祉の枠に囲いこんでしまうことのないようにしたいという願いが本書の最大のメッセージであろう。念のためいえば、それは両者と無関係にあるとか、関係を断つとかいうことではない。その作品が、既成芸術に関わりのある者によって見出され、また作者がしばしば福祉の利用者であることは事実であり、そのことはどこまでもつきまとうように思われる。そうした関係を、作品を鑑賞するさいの「じゃま」になるものと考える向きもあるだろうが、作品にまつわるそうした「じゃま」くささを、言わば作品への不可欠の回路として(作品の一部として、と言ってもよい)付き合うことで――つまりそうした余裕を鑑賞者がもつことで――出会えるものが、アウトサイダー・アートなのである。しかしこのことと、既成芸術や福祉に囲いこむことを決して混同してはならないということだ。もともとの意味とは離れた「アール・ブリュット」というマジック・ワードのもと、状況が大きく動いている今こそ、関係者も含めて広く読んでほしい一冊である。
0コメント